「ダリア」辻仁成

ダリア


6年ぶりの再読。
前回の感想。
http://bookbookman.blog20.fc2.com/blog-entry-294.html
この時点で辻さんが作家20周年。26周年になったわけか。

表紙の不気味さがこの物語にピッタリ。

ダリアという青年がとある家庭の妻と関係を持ったことから始まり、次第にその家族を惑わし信頼を得て住み着いてしまう。彼は何者なのか。悪魔と呼ばれることもあるが、天使?男なのか女なのか?

官能的なシーンもあるが、ダリアが人間の形を保たずゼリーのような形態に変わり気持ち悪い。不快感。

しかし最後にダリアの独白のような記述を読んでいると、この世のものではない超越した存在を感じられるような気分に。また自分が年を重ねて何年後かに読み返したら少しは理解が深まるかな。

「海峡の光」辻仁成

海峡の光


平成8年度下半期の芥川賞受賞作。
当時、辻さんが好きなので受賞に関係なく読んだが、良く理解できなかった。
久しぶりに再読をしてみた。


辻氏が描く函館の風景が好きだ。
キラキラ輝く海、どこまでも続くような平野、そしてヒンヤリと澄んだ空気。
本を読みながら深呼吸したくなる。


本書は函館を舞台にした2人の男の物語。刑務所で看守として勤務している斉藤と、受刑者として現れたかつての同級生・花田。

学生時代に いじめられっ子だった斉藤といじめっ子だった花田。優等生ヅラをし、直接手を下さずクラスメートを支配して陰湿ないじめを行っていた花田は、刑務所でも模範囚ぶりを発揮しながら受刑者たちを操ってゆく。

そんな彼の二面性を知る斉藤は、立場が逆転した事に優越感に浸るも、過去に囚われ、花田の見えない支配に怯えている。花田は何を企んでいるのか…

物語の最後、仮出所日に斉藤を殴って刑務所に戻された花田。反省する様子を見せるが、刑務所内の居心地が良く残りたかったのだろうか。他に目的があるのだろうか。再読したけれど花田の気持ちを読み解けなかった。優等生は優等生なりの苦悩や闇があったのかな。暗い気持ちになる小説だった。


今治市の刑務所施設から脱走した受刑者のニュースが入ってきた。
彼も模範囚だったそうだ…。何を思って逃走してるのかな。

テーマ : 読んだ本。
ジャンル : 本・雑誌

3月の読書メーター

3月の読書メーター
読んだ本の数:9
読んだページ数:2543
ナイス数:2

世界の終わりの天文台 (創元海外SF叢書)世界の終わりの天文台 (創元海外SF叢書)
読了日:03月30日 著者:リリー・ブルックス=ダルトン
アルテミス(下) (ハヤカワ文庫SF)アルテミス(下) (ハヤカワ文庫SF)
読了日:03月24日 著者:アンディ・ウィアー
愛をください (新潮文庫)愛をください (新潮文庫)
読了日:03月19日 著者:辻 仁成
アルテミス(上) (ハヤカワ文庫SF)アルテミス(上) (ハヤカワ文庫SF)
読了日:03月18日 著者:アンディ・ウィアー
そこに君がいた (新潮文庫)そこに君がいた (新潮文庫)
読了日:03月15日 著者:辻 仁成
アンチノイズ (新潮文庫)アンチノイズ (新潮文庫)
読了日:03月14日 著者:辻 仁成
パルプ (ちくま文庫)パルプ (ちくま文庫)
読了日:03月10日 著者:チャールズ ブコウスキー
ツィス (集英社文庫)ツィス (集英社文庫)感想
一応、パニック小説だと思うのだが、あまり緊迫感が感じられず。時代遅れの描写も多く突っ込みどころも満載だが、それに哀愁を感じ、当時を想像するのも楽しい読み方だ。平成生まれの若い子にはその楽しさは理解できないかもしれないが…

被害が拡大し、話しが膨らんできたところで最後はトーンダウンしてしまった感もあるが、広瀬氏の着眼点、発想力は他にはない面白みがある。

読了日:03月02日 著者:広瀬 正
醜聞の作法 (講談社文庫)醜聞の作法 (講談社文庫)感想
噂話が人々の口によって、あたかも真実のように語られ拡散していく恐ろしさ。現代に通ずるものがあり過ぎて、いhttps://admin.blog.fc2.com/control.php?mode=editor&process=new#つの時代の人々もゴシップが好きね~と頷きまくり。

現実である書簡の内容と、創作である誹謗文が交錯し、何が真実なの??と戸惑う終盤で、あっぱれ!と膝を打ちたくなるような美しい物語の回収(ハッピーエンド)。ため息が出るような見事な手腕。やっぱり佐藤亜紀さん、凄い。
読了日:03月02日 著者:佐藤 亜紀

読書メーター

「世界の終わりの天文台」リリー・ブルックス=ダルトン

世界の終わりの天文台
ある日突然、戦争が始まる?!と、北極の天文台にいた人々が撤収を始める。天文学者の年老いたオーガスティンは、反対を押し切り残ることに。謎の少女アイリスと2人きりの生活が始まる。真っ白な雪の世界、幻想的なオーロラ、時折見かける動物たち。極寒の北極圏の描写がとても美しい。

一方、木星探査を終えて帰還中のクルーたち。地球との交信が途絶えてしまい、不安の中で地球に向かっている。機材トラブルが起きたり、希望の見えない帰還に乗組員たちの精神状態も不安定に。足元のない宇宙での孤独はいかほどか…。


2つの物語が少しづつ絡まりを見せていくのだが、淡々と静かに語られているだけ。家族や友人、会社の同僚だけでなく、あらゆる地球上の人々を失う喪失感、孤独や不安…。北極圏の短い夏と白銀の景色、色を失ったような宇宙を漂っている不安定さ。あまりの静けさに胸が締め付けられた。

最後の最後で「え!?」という会話があり、謎が解けた!!。いや解けない(笑)。謎が深まるばかり…。もう絶望しかなさそうな地球なのに、何となく希望を感じられるようなラストで幕を閉じる。


パラパラと読み返しながら、もやっとした余韻に浸る。この余韻は嫌いじゃない。ジャンルとしてはSFなのだろうけれど、「SF」を期待しているとガッカリしてしまうかも。SFに拘らず、謎は謎のままで、一つの物語として楽しむのが良いだろう。


「きょうで世界が終わるなら、あなたは誰と過ごしたい? 」
やっぱり家族かなぁ~。

「本が好き!」の献本に当選して、本をいただきました。

テーマ : SF小説
ジャンル : 本・雑誌

「アルテミス」(上)(下)アンディ・ウィアー

アルテミス(上)アルテミス(下)
まず、、、。私は月が大好き!アポロの宇宙飛行士が好き!
いつか月面に立つのが夢♪。いや、降り立てなくても間近で眺めるだけでもいい。それまで生きていれば…お金も問題もあるね…。

「火星の人」でブレイクしたアンディ・ウィアーの2作目は月を舞台にした物語。表紙の月を見るだけで期待が膨らむ。


月面都市アルテミスには5つのドームがあり、観光地として栄えている。それぞれアポロの宇宙飛行士の名前が付いている。←ここに胸きゅん♪

ポーターとして働き、根底の生活をしているジャズ。出身はサウジアラビアだか、幼少期に父に連れられてアルテミスへやってきた。口が悪く奔放だがそこが魅力にもなっている。少しお下品なこのキャラは好き嫌いはあるかな。

ある日、ポーター仕事のお得意様から極秘の儲け話(犯罪)を打診される。貧乏から脱したい彼女は簡単に引き受けてしまうが、あえなく失敗。お得意様は殺害されてしまい彼女も命を狙われる。その裏には政治やら経済やらが絡んでおり、仲間を集めてアルテミスを守ろうとするのだが…


後半はオチが見えてきてちょっと醒める。もう少しひねりが欲しいところ。ノリが軽いのも苦手。でもそれ以上にアルテミスが魅力的!映画化も決まっているそうだが、映像化した方がウケが良さそうな感じ。

アルテミスの5つのドーム、荒涼とした月の景色、美しいだろうなぁ~想像するだけでワクワクしちゃう。ハムスターボールっていう観光客が月面を移動するのに使うアイテムがあるんだけど、これ可愛いのでちゃんと採用して欲しい。

数十年前と違って月に移住するのが夢でなくなってきた現在、夢物語ではなく少し身近な存在として月を感じられる物語。SFに馴染みのない人にも読みやすそう。

テーマ : SF小説
ジャンル : 本・雑誌

「愛をください」辻仁成

愛をください

菅野美穂さんが主演でドラマ化され、主題歌「ZOO~愛をください~」もヒットしたので、記憶にある方もいるのではないだろうか。


児童養護施設で育った李理香に見知らぬ男から手紙が届いた。最初は不信感を抱いていたが李理香だが、文通が始まり2人が心を通わせていく。絶対に会わないことを約束し、誰にも話せない苦悩や懺悔を告白し、時に励まし合い、お互いになくてはならない存在になっていく。

李理香は児童養護施設を出て仕事に就き一人暮らしを始める。職場でのイジメやトラブルを乗り越えて成長していく一方、文通相手の基次郎からの返事が途絶えてしまう…


当時読んで以来の再読だったので内容もおぼろげだったが、途中から記憶がよみがえり、非情なのに心が温かくなる結末に涙した…。だたの涙ちょうだい物語ではなく、李理香の成長と「愛」の物語だ。

今はメールやラインで言葉がどんどん流れ失われていくが、手紙は手元に残るのが良いね。書くのは根気がいることだけど、たまには手紙を書こうかな。

テーマ : 読んだ本。
ジャンル : 本・雑誌

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