BookBook Blog

0

「一死、大罪を謝す 陸軍大臣阿南惟幾」角田 房子

一死、大罪を謝す 陸軍大臣阿南惟幾 (ちくま文庫)
角田 房子
4480432523太平洋戦争末期、終戦に向けての数日間を知る中で、阿南さんに興味が沸き 手にした1冊。

最後の陸軍大臣。終戦に最後まで反対していたが、最後は切腹により自決。
なぜ終戦に反対していたのか、なぜ自決したのか。

終戦に反対していたのは、ただ反対していた訳ではなく国体護持の確約を再度確認して欲しいとか、本土決戦なら勝機があるとか理由もあった。その裏には終戦が発表されて軍人さんたちが暴走しないようにとの配慮があったらしい。自決することで責任を取ったということらしい。らしいというのは、彼は何も残してないから。

そうか「腹芸」だったのか。と理解すると筋が通る事が多い。

著者は女性。
ただ憶測で彼の人物像に迫っているわけではなく、膨大な資料を基に検証している。もちろん欠点などにも触れている。司令官としては才能があったわけではないが、愛すべき人物で家族も大事にしている父親だった。

後半のポツダム宣言を受諾するしないの流れや、玉音盤を奪うためのクーデター「宮城事件」、阿南さんの自決まで映像が目に浮かぶような流れに引き込まれた。玉音盤を奪うためのクーデター未遂事件って、玉音盤に拘ってのことではなかったのかな?と今回初めて思った。もう少し色々な角度から知りたい。

色々な方たちの働きがあって、今の日本の平和があるのだと改めて感じた。

著者の角田房子氏、非常に読みやすく公平であるように努めているように感じられた。出版されている書物を調べたら、興味深い人物の評伝を多く書かれている。リストイン。


毎年夏の間に太平洋戦争関連の本を読むようになったが、興味を持ち始めると読みたい本がどんどん増えていく。季節関係なく飽きるまで読もうかと思っている。もっと知りたい。

0

「帰ってきたヒトラー(上・下)」ティムール・ヴェルメシュ

帰ってきたヒトラー 上 (河出文庫 )
ティムール・ヴェルメシュ 森内 薫
430946422X
帰ってきたヒトラー 下 (河出文庫)
ティムール ヴェルメシュ 森内 薫
4309464238

話題になっててずっと読みたかった本。文庫になるまで待っていた。
ふと、近所の本屋で見覚えのある表紙を見つけて即購入。
映画化されていたもの知らなかった!

楽しみにしていたのに、上巻の半分くらいまで退屈で…
本当に世界でベストセラーになったの??

ところがヒトラーがTVに出るようになってから先が気になり面白くなってきた。
ヒトラーと人々の会話が噛み合ってなくて笑ってしまったり、ヒヤヒヤしたり。
いつの間にか引き込まれて読み切ってしまった。

数年前に「意志の勝利」という記録映画を見た事がある。
http://kokodewa.blog26.fc2.com/blog-entry-553.html
ナチスの党大会を記録したプロパガンダ映画。
本物のヒトラーの演説に魅了されてしまった。
当時の人々が熱狂して洗脳されてしまうのも分かる。
演説力?のようなものがあるのだろうか。

現代に蘇った本書内のヒトラーにもそんな魅力がある。
キャラクターとしていじりやすいのはある。
しかし、触れてはいけないタブーのようなものが存在しているにも関わらずだ。
日本で売れている以上にドイツやヨーロッパでベストセラーって驚異的。
これを面白がれるくらい月日が経っているという事なのか。

読み終わって複雑な気持ちではある。
確かに面白かった。
でも彼のしてきた事は許される事ではないし、今でも苦しんでいる人々が沢山いる。
笑い飛ばせるくらい平和になったのかな。

0

「聖断―昭和天皇と鈴木貫太郎」半藤 一利

聖断―昭和天皇と鈴木貫太郎
半藤 一利
4569629849毎年夏の間は太平洋戦争関連の本を読んでいる。今年チョイスしたのはこの本。

鈴木貫太郎って、終戦の時の総理大臣…という認識しかなかった。
以前読んだ「昭和天皇独白録」で、昭和天皇が信頼を寄せいていた人物だったと書いてあったっけ?というのは読んでいるうちに思い出した。

大変なご苦労をされ、日本の為に死力を尽くした方なのだと知った。
そして昭和天皇が本当に戦争を回避したく思っていたこと、孤独であった事、胸が痛くなる。

子供の頃は日本は原爆を落とされた可哀そうな国、悪いのは東條と昭和天皇、と刷り込まれてきた。

太平洋戦争について本当の事が知りたいと興味を持つようになって学ぶうちに、軍隊による暴走、世論、思い上がった一部の人物によって戦争を引き起こし悪化していったのだと理解した。もちろん、日本だけの事ではなく世界各国の問題もあったろうが。

阿南さんについても、最初は軍隊の長で悪い人物という印象だった。色々な文献を読んで彼の人柄や本心などを知るにつれて何とも言えない気持ちになった。

国を思う気持ちは熱く、調整役として苦しい場面もあったのだろう。自決してしまったのも残念であるがケジメとして、この時代では仕方がなかった。阿南さんについて書かれたものを読みたいのだけれど、意外とないんだよね。

ボリュームはあったが読みやすく、非常に読み応えのある1冊だった。半藤さんの著書は何を読んでもいい。

人に勧めたくなるが、周りに理解してくれて共感してくれる人がいないのが残念だ。


0

「ヒロシマ・ナガサキ 二重被爆」山口 彊

ヒロシマ・ナガサキ 二重被爆 (朝日文庫)
山口 彊
4022616334二重被爆の方がいる。と知ったのは「世界一運が悪い男」とイギリスの番組で山口さんが笑いの種にされたとのニュースだった。その後、ドキュメンタリーで彼のインタビューを見た記憶がある。

そしてその方が書いた著書がある事を最近知って購入。既に亡くなられているが93歳までご存命だった。長生きされてはいるが、その人生が困難で苦しいものだった事は想像に難くない。

弁論大会に出たり短歌をやっていただけあって、文才もあったようだ。半分くらいまでは幼少の頃からの自伝のようなも。広島で被爆してからの描写が淡々としてはいるが、地獄絵図が目に浮かぶような恐ろしい風景が続く。書き出すのに苦痛が伴ったのではないだろうか。

そのような事態でまさか電車が走っているなんて。そして長崎まで向かった多くの人がいたなんて知らなかった。やっと長崎に戻り家族と再会して安堵したのもつかの間。またピカドン。

戦後は、英語の先生をやったり通訳をしたりした後に、三菱造船に復職し定年まで勤めている。息子さんが癌で亡くなったのをきっかけに、自分の体験を語ろうと思うようになったそうだ。

こんな恐ろしい戦争があったのに、核を保有する国があり争いも絶えない。

長崎には2度訪れたことがある。関東以外に住むなら長崎以外考えれないと思うくらい、気に入った。海や山があり自然が多い。路面電車、坂、教会、大好きなちゃんぽん。そして原爆の爪あとが残る場所も。爆心地跡に行っても緑豊かで、焼け野原だったなんて信じられなかった。

広島は行ったことがなかったが、今年の秋頃に旅行する予定。
一人ひとりの力は小さくでも語り継いでいくべきものだし、戦争は絶対ダメといい続けなくてはいけない。

このカテゴリーに該当する記事はありません。