「カフカ・セレクション 3」フランツ・カフカ

カフカ・セレクション〈3〉異形/寓意 (ちくま文庫)
平野 嘉彦
4480424539「カフカ・セレクション」最後の「異形・寓意」編。

前半の短編がどれもこれも面白い。
「それはハゲタカで」「雑種」「夕方帰宅してみると」「ジャッカルとアラビア人」「その村はターミュルといった」がお気に入り。明らかに普通の状態じゃないんだけど、それを受け入れて不便を感じながらも生活している様子が滑稽でいじらしい。

「歌姫ヨゼフィーヌ、あるいは鼠の族」「いかに私の生活は変化したことか」淡々と淡々と語られるので、一瞬、退屈で読み飛ばしたくなる。が、2で読んだ「巣造り」のように読み進めているうちに虜になってしまう。


最後に収録されている「変身」。おそらく初めて読んだカフカはこれだと思うし、何度も読んでいるはずだけれど、新鮮な気持ちで読むことが出来た。前はザムザが巨大な虫になってしまった事ばかりに興味がいっていたと思うが、家族の優しさやザムザの家族に対する愛情が切なく美しい。


3巻読み終えたが、断片ですらカフカの紡ぎ出す言葉は美しく引き込まれてしまう。ということを再認識した。
短編には短編の、長編には長編の魅力がそれぞれあるが、走り書きのような言葉でも私にとっては宝物のような言葉。
ちくまには感謝、感謝。

テーマ : 読んだ本。
ジャンル : 本・雑誌

「カフカ・セレクション 2」フランツ・カフカ

カフカ・セレクション 2 (2) (ちくま文庫 か 13-3)
平野 嘉彦
44804245203巻からなるシリーズの2冊目「運動・拘束」。

1巻も素晴らしかったが、これも満足出来る一冊。
「ある断食芸人の話」と「流刑地にて」は何度も読んでいるけれど、読むたびに新たな発見と感動がある。

初めて読んだ「巣造り」。
自分の巣についての細々とした心配ごとに思いを巡らせたり、計画について頭を捻ったり、過去を振り返ったり・・・が、特に大きな起伏もなく繰り返されるんだけど、見方によっては退屈でつまらない物語だろう。

カフカの小説はそのようなグルグルと同じところを歩き回るような話しが多いけど、何故かこれに魅了されるんだよね。
あとは訳の言葉使い、訳し方が合ってるのかな。

まだ読み終えてない3巻も楽しみ。


※2010.01.09追記
本の整理をしていて付箋が貼ってあったのが「ある夢」
ヨーゼフ・Kの見た夢。--で、始まる。
墓が作られているのを眺めている自分と自分が埋葬される感覚。
短い言葉の中に凝縮された死。
映画のワンシーンのような、これだけで一つの物語のようなイメージ。

テーマ : 読んだ本。
ジャンル : 本・雑誌

「カフカ・セレクション 1」フランツ・カフカ

カフカ・セレクション 1 (1) (ちくま文庫 か 13-2)
平野 嘉彦
44804245123巻からなるシリーズの1冊目「時空・認知」。
年代とか関係なく並んでいて進んでいくにつれて一遍が長くなってゆく。

未発表のメモのようなタイトルすらないものや、未完の作品が多いのに、不満は全く感じない。むしろ途中で思考をぶち切られるのもカフカらしい気がする。
起承転結もなく淡々と語られるだけの話でも引き込まれてしまい、情景が読後も目の裏に残像として漂っている。

特に印象に残っているのが、最後に収録されている「あるたたかいの記」。
他のカフカ作品以上に、夢の中を彷徨い歩いているかのように方向感覚が掴めない。
大好きな安部公房の一番好きな作品「カンガルーノート」を思い出した。

ちくまさん、グットジョブ
2巻、3巻も楽しみ。

テーマ : 読んだ本。
ジャンル : 本・雑誌

「カフカ事典」

カフカ事典
池内 紀 若林 恵
4385154341カフカの研究本とか考察本が数多く出ているのは知っていたけど、そういう物を読まずに作品を楽しめばいいと思っていた。
けれど、有名な長編以外に短編集など、彼が出した作品は特別数が多いわけではないし、未完の物も多く、なぜこんなにも彼が支持されているのか、不可解な作品であるにもかかわらず、何故読み継がれているか、彼の事を知りたいと思って、多く出ている「カフカ本」の中から、読みやすそうなものを選んでみた。

彼の生い立ちから家族について、恋人について、友人達についてかなり事細かに、そして簡潔に書かれている。彼が日記や手紙を多く残していた為に、判明した事だとは思うが、恐ろしいほど一人の人物について明らかになるものだと驚く。
残された作品についても、あらすじと作品を書くにあたっての背景や、解釈などが、ひとつひとつ簡単に書かれていて、非常に読みやすい。
後半部分には年譜や出版されている評論本や研究本などの一覧もある。

「じてん」と言うよりも、入門編・・・と言うか、カフカ基礎編みたいな感じで、堅苦しさはなく、文字も大きめで読みやすい(苦)。
作品についての余計な解説は不要だが、彼自身を知る事によって、より深く作品を理解し、楽しむ事が出来るのではないだろうか。
彼が書いた手紙を集めたものや、カフカの友人のマックス・ブロートの著書なども読んでみたい。

テーマ : 紹介したい本
ジャンル : 本・雑誌

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