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お気に入りの本の紹介


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2008/04/24 / 00:00

クラッシュ (創元SF文庫 ハ 2-11)
J.G.バラード 柳下 毅一郎
4488629121前から読んでみたかったけど、ハードカバーしかないし、内容もちょっと(エロい描写が多いらしい)・・・と、手に入れてなかったんだけど、やっと文庫になったので、さっそく読んだ。

表面的な内容だけ取り上げると、ポルノ小説とか、エロ小説というものなのかもしれないし、狂気じみた行為、思考が溢れていて、前半はページをめくる手が重かった。
通勤時に本を読むので、、卑猥な単語が出てくると背後が気になったり、読み飛ばし気味になってしまったりした。気分が悪くなるシーンもあったし、こんな話しが一体どう展開していくのか、正直ゲンナリもした。

でも、読み進むにつれて次第にのめり込んで、バラードが紡ぎだすひとつひとつの言葉がアイコン化され、現実感がない感じで、破滅に向かっていくヴォーンですら愛おしさを感じた。
見える部分ではなく、彼がこの作品に込めたテーマを読み解くのは困難に感じるが、拒絶せず引き寄せられてしまった結果からして、感覚的に受け止めることが出来たのかなと思う。
これが73年の作品というから驚きだ。まったく時代を感じさせないどころか、新しさすら感じる。

序文が非常に興味深く、「クラッシュ」を読み解くうえでのガイドになる。読み終わったあとにも序文を読み返すことをお勧めする。

でも、この作品をクローネンバーグが映画化したものは、見てみたいような見たくないような。映像を見るのは耐えられないかもしれない…。

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2007/09/21 / 17:26

ハイ-ライズ
J.G.バラード 村上 博基
4150103771

J.G.バラードの「ハイライズ」が映画化するらしい…という噂を聞き、持っていなかったので、Amazonマーケットプレイスで購入。

高層マンションに住む人々の崩壊していく様が、バラードワールドで描かれている。
今でこそ、マンション(敷地内)にショッピングセンターや学校、プールなどがあっても珍しいものではないが、これが書かれた当時はどうだったのだろうか?(1975年の作品)

裕福で、ステータスのある職業に就いているセレブな人々が、マンション内で対立し睨み合い、抗争したりなんかするんだけど、尋常じゃない生活になってるのに、誰も気づいていない…と言うか気にしてない。
せっかく高いお金出して買ったマンションなのに、エレベーターが使えなかったり、電気が止まっちゃったり、ゴミが溜まったり、人が死んだり…。マンションと言う閉鎖された街がどんどん荒廃していく。

それにしてもこのマンション、実際は悪臭が漂って汚いだろうが、それすらもバラードにかかると、なぜか違和感なく、むしろ美しくクールに感じてしまうから不思議だ。

『沈んだ世界』『燃える世界』『結晶世界』など、規模の大きい話しではなく、身近なところの話しなので、違った形でこういう事ってあるよなぁ…と思った。
こんなはずじゃなかったのに!気づいたら、いつの間にか…って。

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2006/05/31 / 20:38

楽園への疾走
J・G・バラード 増田 まもる
4488016472J・G・バラードの新刊。
私は文庫派だけれど(ハードカバーは重くて持ち歩けない、値段が高いので)、文庫にならなそうだし(苦)、今は仕事しておらず自宅で本が読めるので、買っちゃいました。


ひょんな事から環境保護活動を行っている中年女医のドクター・バーバラと行動を共にする事になった16歳の少年ニールは、アホウドリを救うべく、タヒチ沖に浮かぶサン・エスプリ島へ向かう。
賛同者も集まり、抗議活動も順調に進んでいるかと思われたが、世間との繋がりを絶った孤島の楽園は、ジワジワと狂気に蝕まれていく。


バラードの描く美しくも破滅に向かっていく世界にいつの間にか取り込まれてしまい、気づいた時には後戻り出来ず首根っこを掴まれ、逃れられなくなる。
バラードの代表作である「破滅三部作」(「燃える世界」「沈んだ世界」「結晶世界」)や、私が初めてバラードに出会った「夢幻会社」、最近読んだ「コカイン・ナイト」の流れを引継ぎつつ、更に強烈に迫ってくるリアルさに、誰が正気なのか、何が現実なのか、読みながら感覚が麻痺してゆく。

読み終えた時には、悪夢から目覚めて「ホッ」とした感覚を覚えた。

実際に起きてもおかしくないし、人間ってこうやって狂ってゆくのかもしれない。

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2006/04/17 / 11:44

終着の浜辺
J・G バラード J.G. Ballard 伊藤 哲
4488629113創元社の復刊フェアで見つけた「時間の墓標」を改題したバラードの短編集。60年代に書かれた9編。

初めてバラードを読んだ時には「これSF??」と戸惑ったが、一度足を踏み入れると逃れる事が出来ない。
何処とも言えぬ場所、そして時間感覚、冷たい風が吹き抜けていくような荒廃したイメージ。
バラードの昔の作品を読むのは久しぶり。内宇宙にどっぷり浸れる作品ばかりだ。

感想を書きたいのだけれど、ボキャブラリー不足な私には表現するに相応しい言葉が出てこない。
バラード好きならば、是非手にとってもらいたい。

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2006/02/11 / 20:06

J・G・バラードの千年王国ユーザーズガイド
J.G. バラード James Graham Ballard 木原 善彦
4826990367バラードファンは必読!
1963年から1995年までに書かれた書評、エッセイなどをまとめたもので、小説以外での彼のことばを読む事が出来る貴重なテキストだ。
映画、伝記、視覚芸術、作家・・・などに分けられたそれらの中で、知らない名称や人物について古いものもあるため、イメージしにくいものもあるが、逆に興味を持ち、もっと知りたい、映画ならば見てみたいと思わされるものも多数あった。

特に私が好きなサルヴァドール・ダリやフランツ・カフカ、ウィリアム・バローズについては、彼の「意見」「想い入れ」を知る事が出来て非常に嬉しい。
また「サイエンス・フィクション」の中に収められているエッセイ等は彼の作品を理解するうえでも、非常に興味深い。
彼が目指した「内宇宙」はこう言う事だったのか。と改めて知る事が出来た。バラードファンに限らず、SFファンにも読んで欲しい。


中でも一番、心に残ったのが最後に収められている自伝「私の終戦」。
バラードがイギリス人で、上海で育ったのは知っていたけれど、自伝的映画と言われる「太陽の帝国」を見ていない私にはショッキングな内容だった。
彼が第2次世界大戦中に、日本軍による収容所に2年半もの間抑留されていた事は知らなかった。

数年前から、第2次世界大戦で原爆を落とされた日本は被害者だ。と子供の頃から刷り込まれていた事がすべてではなく、加害国としての歴史が非常に多い事について、もっと知りたいと思っていた。確かに、多くの人が犠牲となり、原爆がきっかけで降伏する事にも繋がったとは思うが、それ以前からの他国への侵略行為や残虐行為は、教科書でもきちんと教えられていなかったように感じていた。

日本に限らず、世界の歴史を自分はあまりにも知らな過ぎ、戦争を知らずに育ってきた。ただ「平和」を望み、訴えるだけではなく「事実」に目を向ける事も必要だ。
「私の終戦」はまるで小説のように読めてしまったけれど、これはバラードが体験した「事実」なのだ。

最後に書かれている
「広島と長崎はアメリカの戦争犯罪だという主張は、日本人に対して不幸な影響を与えている。日本人は国家として自分たちが犯した残虐行為に向き合った事は一度もないし、私たちが広島と長崎を思い出して慚愧に絶えず頭を垂れている間は、彼らの反省はないだろう。」(P147)
まさにその通りではないだろうか。
すべてに当てはまるとは思わないが、加害者は自分のした行為を忘れてしまったり、謝罪すれば終わりと言う意識が強いが、被害者は永遠に忘れる事は出来ないし、心から許す事は出来ないのではないかと思う。

今までは「太陽の帝国」はバラードが原作だけれど、SFじゃないし・・・と思って見た事がなかったが、これを読んでから是非見てみたいと思うようになった。

もっと、バラードの「ことば」を聞きたい。現在はどのような事を考えているのだろうか。

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