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2008/01/09 / 13:35
黒いカーニバル (ハヤカワ文庫 NV 120)
レイ・ブラッドベリ 伊藤 典夫 ![]()
初期の短編24編。
1940年代に発表されたものが多いんだけど、古臭さはほとんど感じず、童話のような温もりや懐かしさと、ゾクっとさせられる奇怪さ、紡ぎだされる言葉の美しさは色あせない。
この短編集は、パルプ雑誌等に発表されたあと、埋もれて忘れ去られていた作品を集めて一冊にしたものだという。初期の作品という事で、勢い、大胆さが感じられるように思う。ファンタジーなブラッドベリもいいけれど、ダークなのに後味があまり悪くない・・・けど、頭の隅っこがチクリとするような短編が個人的には好き。なので、この短編集を作ってくれてありがとう!と言いたい。
2006/11/22 / 09:58
太陽の黄金の林檎
レイ ブラッドベリ Ray Bradbury 小笠原 豊樹
「サウンド・オブ・サンダー」の映画化に伴い、再版された短編集。映画は見に行かなかったんだけど、読んだ事がなかったので購入。
22編の短編たちは、どれもどこか懐かしい香りがする。お伽話のような、聞き憶えのある物語のような。
そんな中にも、ピリッとしたスパイス的要素や、陰影が後ろに見え隠れしているのは、ブラットベリならではだ。ホンワカと温かい気持ちになれるんだけど、何故か不安にかき立てられるような。
一番素敵だな、と思ったのは表題にもなっている「太陽の黄金の林檎」。冷えきった地球を救う為、太陽の炎を持ち帰ろうとす宇宙船の話しなんだけど、ありえない設定の話しなのに乗員たちのやりとりで楽しめてしまう。太陽の炎を取りに行く、という発想がいい。
ジョゼフ・ムニャーニによる幻想的なイラストが1編につき1枚づつ収録されているが、SF小説のイラストってどうもダサいものが多くて、ゲンナリする事もあるんだけど、これはなかなかカッコ良くて楽しめた。
2006/03/25 / 23:29
塵よりよみがえり
レイ・ブラッドベリ 中村 融
ブラッドベリは、「華氏451度」読んだのが、10年以上前だろうか。そのインパクトが強すぎで、その後に読んだファンタジーちっくな短編や「火星年代記」などにちょっぴり落胆してしまい、しばらく読んでなかった。
しかし、先日読んだ「何かが道をやってくる」に夢中になってしまい、またブラッドベリを手にするように。
映画の公開もあり、ちょっとしたプチマイブーム。
SFファンタジーとかファンタジーって聞くと、甘ったるくてメルヘンな子供だましのように感じてしまう事もあるけれど、ブラッドベリのそれは、どこか懐かしく、安らぎすら感じる部分と、ダークで見てはいけないものを覗き見るような好奇心や怖ろしさがある。
この物語は、小高い丘に建つ一軒の屋敷で繰り広げられる、魔力を持つ不思議な一族+一族と暮らす普通の人間の少年ティモシーたちの不思議な物語。
何千年も生きている(死んでいる)ミイラのおばあちゃんや、翼の生えた伯父、心をあらゆるものに飛ばす事のできる魔女のセシーなど、キャラも魅力的。
訳者の力もあるだろうが、ブラッドベリの文体や言葉使いが美しく、酔いしれそうだ。繰り返し同じ箇所を読み返すこともあったほどだ。ラストも悲観的でもなく、ベリーハッピーでもなく、この小説に相応しいラストで、これもまた心地良い読感を得られる。
そして、表紙はアダムスファミリーでお馴染みのチャールズ・アダムズ。この小説にピッタリの素晴らしい挿画だ!!