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2008/07/21 / 00:00
猫のゆりかご (ハヤカワ文庫 SF 353)
伊藤 典夫 
ヴォネガットも、もう三作目。マイブームな作家だ。作風に慣れてきたら俄然面白い。
主人公が本を書くために、原子爆弾の父ハニカー博士の子どもたちへ手紙を書いて接触したところから始まる。ハニカー博士の子どもたちとサン・ロレンゾ島に向かい、ボコノン教に出会い、島の大統領になる羽目になり…。
ボコノン教が最高に緩くてへんてこりんな宗教で、でも心休まるようなアドバイスもあったり、ディックが作り出す宗教とも全く違うもので、非常に面白い。
ボコノン教徒が人生のからくりの複雑さや意外さを思うときに口にする言葉「目がまわる、目がまわる、目がまわる」なんて最高! 足の裏を重ね合わせる親密な行為であるボコマルも可愛いが、見つかったら死刑だ。
アイス・ナインのせいで世界が氷づけになってしまう終末的な世界すら悲壮感がなく、淡々と語られる。
読んでいる時は、メッセージを突き付けられているような押しつけがましいものは感じないが、読後にジワジワと恐怖を感じ、深く物語の意味を考えさせられる。
クールな物語なのにユーモアによって中和されているが、苦い後味が残る。この手法はスゴイと思う。
もっと早く読む機会があればまた感じ方も違ったかもしれないけど、このタイミングで読んだのが良かったのかもしれない。10年前だったら、解らなかったかも。
2008/06/28 / 00:00
ジェイルバード (ハヤカワ文庫 SF (630))
カート・ヴォネガット 浅倉 久志 
ヴォネガット作品2冊目。たまたま古本市で見つけた。
前回読んだ「スローターハウス5」は、こういうスタイルの作品なんだと思って読んだんだけど、これがヴォネガットのスタイルなんだな。
ウォーターゲート事件の巻き添えをくって囚人(ジェイルバード)となったウォルター・F・スターバックの回想録。
歴史に詳しくないので、現在や過去を行ったり来たりする構成に、どこまでが史実でどこまでが創作なのか分からないけど、背景を知っているともっと理解できるんだろうなぁ。セーラと再会してからは、物語的な要素が強くなって読みやすくなって、グイグイ読み進んだ。
読み慣れるまでは取っつきにくかったけど、面白さが分かってヴォネガットにハマってきた。
2008/06/27 / 00:00
スローターハウス5 (ハヤカワ文庫 SF 302)
伊藤 典夫 
海外SFに興味を持ち始めた10代の頃から気になりつつも、購入する機会がなく、たまたま本屋に並んでいるのを発見してやっと購入する事が出来た。
SFと思って読み始めたんだけど、これは・・・どう解釈したらいいんだろう。戸惑いながら読み進め、何度かページを遡り読み直したりした。今までに読んだことのない文体、展開の仕方で、頭に入っていかないのだ。
確かに宇宙人が出てきたり、時間を行ったり来たりするのはSF的だけれど、作者自身の自伝的小説ともとれるし、第二次世界大戦時のドレスデンの大虐殺の事が背景にあるので、重いテーマも含まれている。その重いテーマをユニークな表現で笑い飛ばしたり、ピリ辛な皮肉で語ったりするので、振り回されるというか、どう受け止めればいいのか消化しきれない。
偏った読書をしているので、たまに違った作家を読むと、新たな発見や衝撃があるのでいろいろ読むのは大事だなと痛感した。
他にもタイトルだけ知ってる有名な作品もあるので、読んでみたいとは思うけれど、「超面白い!」って内容の作品ではなかったので、重く引きずるような後味がいまだに残ってる。
第二次世界大戦の傷痕は日本だけでなく、多くの国で、多くの人の心に深く刺さっているのだなと改めて思わされた。