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「その名にちなんで」ジュンパ・ラヒリ

その名にちなんで (新潮文庫)
Jhumpa Lahiri 小川 高義
4102142126以前、旦那のお義父さんから譲り受けた「停電の夜に」を読んで予想外の感銘を受けた。同じ作者の新刊が出ているのを知って先日購入。(「停電の夜に」の感想はこちら。)


インドで生まれ育ち、結婚&夫の仕事でアメリカに住む事になったインド人の夫婦。
それぞれの視点で語られる物語かと思いきや、息子ゴーゴリが生まれると彼の視点が中心となる。成長していき、仕事、結婚と特に大きな事件があるわけでもなく、淡々と語られてゆく。

通勤中に本を読む事が多いんだけど、これは先が気になり自宅でも読んでしまった。
ドキドキハラハラするような物語でもないし、なぜこんなに引き寄せられてしまうのか不思議。

アシマが語る時は、女性・妻の気持ちが分かる。
ガングリーの視点は、子供の頃の自分の思い出が蘇る。

インド人の家族の物語 といっても、舞台が主にアメリカ。
異国で暮らす寂しさや苦労は経験のない私には未知の世界。
それでも、泣きながら逞しく生きていくアシマに共感出来る。

うちは親戚付き合いも薄いので、インド人の濃いぃ付き合いはうんざりしそう(笑)
でも、ちょっぴり羨ましくもあり。

中盤、ショッキングな出来事がある。
会社に向かう電車の中で読んでいて、これから仕事だってのに放心状態に。
誰もがいつかは経験する事だろうけれど・・・。
自分に投影し過ぎてしまい、血の気が引くような、胸が苦しくなるような思いをしてしまった。


あとがきで、これが映画化された事を知った。
映像で彼らの暮らしぶりやインドの様子を見ることが出来ると、また違った感じ方があるだろう。
言葉ではイメージが沸かない部分もあるし。

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「停電の夜に」 ジュンパ・ラヒリ

停電の夜に
ジュンパ ラヒリ Jhumpa Lahiri 小川 高義
4102142118私は好きな作家やジャンルばかり読む偏った読書をしているので、人に勧められて本を読むのが実は楽しみだったりする。新しい発見があるかもしれないからだ。
旦那のお義父さんから譲り受け、短編で読みやすいし、面白いと言う事で、毎晩1編づつ、読み始めた。

カルカッタ出身のベンガル人、インド系作家・・・
と聞いてどんなイメージがありますか??
正確には彼女はロンドン生まれで、インドには住んだ事がないそうだが。

アメリカやヨーロッパの作家や作品は良く読むけれど、インドって特に興味もなく、インド系の作家なんて聞くと違和感を覚える。
実際、登場人物の名前も聞き慣れないものだし、食生活、宗教、習慣なども、TVや雑誌などのマスコミを通して知ったインドのイメージと同じものもあったし、初めて知る事もあった。

全9編の中で、夫婦の関係や人種の異なるもの達の異文化の交流などが多く書かれているが、一歩間違えたら後味の悪いものになりそうな話しも、サラリと描かれており、読後に不思議な爽快感がある。
寝る前に読むにはもってこいだ(笑)。

一番好きな作品は最後に収録されている「三度目で最後の大陸」。
インドを離れ、ロンドンで学び、アメリカで職に就く事になる主人公。
その間に、家族が決めたお嫁さんと特に愛情もなく、夫婦となり、アメリカで生活する事になる。

お嫁さんがアメリカに来るまでの間、ひとり異国で暮らす事に慣れるまでの過程や、愛情や特別の感情もなく共に生活をする事になった嫁との関係の変化など、実に興味深い。
そして、その風景を映画を見ているかのように鮮やかにイメージする事が出来る。作者の細やかな描写や洗練された文章によるものだろう。

すこーしだけ、インドが身近になったように感じた。

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