「醜聞の作法」佐藤 亜紀

醜聞の作法
読み始める前にパラパラとページをめくると、書簡体形式(手紙)が目に入った。この手の形式の小説で面白かった経験があまりない。でも佐藤亜紀さんは好きだからと読み始めたら、まぁ!期待を裏切る面白さ。

18世紀末のフランスが舞台。侯爵夫妻の美しい養女が友人の男(金持ちのジジイ)に見初められてしまう。しかし彼女には結婚を誓いあった彼氏がいる。それを知っている侯爵夫人はジジイとの縁談に反対するが、侯爵は強引に話しを進めようとする。

そこで侯爵夫人が取った行動が、誹謗文を街中にばら撒くこと。弁護士の青年が執筆を依頼され、誹謗文は噂話として瞬く間に広まっていく。実名は伏せられているので、金持ちのジジイは誰だ!?と犯人捜しまで始まる始末。

噂話が人々の口によって、あたかも真実のように語られ拡散していく恐ろしさ。現代に通ずるものがあり過ぎて、いつの時代の人々もゴシップが好きね~~と頷きまくり。

現実である書簡の内容と、創作である誹謗文が交錯し、何が真実なの??と戸惑う終盤で、あっぱれ!と膝を打ちたくなるような美しい物語の回収(ハッピーエンド)。そして幻想的なラスト。ため息が出るような見事な手腕。

やっぱり佐藤亜紀さん、凄い。

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「天使」佐藤 亜紀

天使 (文春文庫)
佐藤 亜紀
4167647036前回、この作品を読んだのは2年前(その時の感想)。佐藤亜紀さん2冊目だった。

最近、「雲雀」を読んで読み返したくなり再読。唸るってこういう事だ。最初に「天使」を読んだ時には気付かなかった事、「雲雀」を読んで知った人間関係などの繋がり、そういったものが一気に結びついて唸った。彼女の頭の中にある事の一部しか理解してないかもしれないけど、一気に視界が開けた感じ。

親子、義兄弟、恋人…そうか、そうか。
歴史の背景は難しいけど、最初よりは少し理解出来てきたので、それが人間関係とも結びついて来て、なるほど、なるほど。この伏線はここに繋がってたのか。無駄な描写が一つもないように思える。

表現の美しさもウットリする。性交シーンや戦闘シーン、人が死ぬ場面、夢を見ているかのような幻惑的なイメージ。
この人の素晴らしさが分かる人が身近にいないのが残念だ。

彼女の作品を何冊か読んできたけど、この「天使」と「雲雀」は一番。

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「雲雀」佐藤 亜紀

雲雀 (文春文庫)
佐藤 亜紀
4167647044「天使」の姉妹編との事。続編ではない。そして短編。「天使」の主人公だったジョルジュと彼に関わる人たちの物語。出生についても明らかになる。

慣れるまでの取っつき難さは相変わらずで、名前も覚えにくいんだけど、ノッてくると俄然面白くなる。登場人物のキャラクターもいい。敵も味方も。

いつも彼女の作品を読むと思うのは、歴史を知っていたらもっと理解出来るのだろうなぁと。それだけが残念。

「天使」を読んだのは2年まえだけど、読みたくてウズウズしてきたので、続けて読む事に。

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「モンティニーの狼男爵」佐藤亜紀

モンティニーの狼男爵 (光文社文庫)
佐藤 亜紀
4334732224佐藤亜紀さん、4冊目。前回読んだ「ミノタウルス」が殺戮や強姦などあまり気分のいい内容ではなかったが、こちらはファンタジーと言うかお伽噺のような不思議な味わい。

田舎の男爵がお嫁さんをもらって、はしゃでいたのもつかの間、嫁を寝取られて嫉妬し、悶え、しまいには狼になってしまう…狼?見たまんま狼なのに、周りの人間には男爵が狼になってしまったと分かる。ファンタジーだからね。男爵さんが何だかんだで可愛い。

それぞれのキャラクターも濃く、愛着が沸く。
佐藤亜紀を人に勧めたかったが、好き嫌いよりも取っつきにくいかなぁ~と思ってたけど、これなら勧めたい!

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ジャンル : 本・雑誌

「ミノタウロス」佐藤 亜紀

ミノタウロス (講談社文庫)
佐藤 亜紀
4062766515佐藤 亜紀にハマってる。
初めて読んだ「バルタザールの遍歴」は難解というかイメージしずらくて、何の話だか理解するのに時間がかかったが、それでも面白くて。慣れてくると読めるようになってくる。

ロシアとかオーストリアとか馴染みがないし、歴史も分からないし、登場人物の名前も難しいんだけど、今まで読んだ4冊の中では読みやすく感じた。悪行三昧の主人公の話なんだけど、強奪したり殺したり犯したりしても不思議と嫌な気分にならない。それは彼だけじゃなく周りの人物たちや地域の荒れ具合で麻痺してしまっていたからかな。

名前は覚えにくいけど、キャラがみんな濃い!存在感が薄かったお兄さんは戦争で顔に傷を受けて醜くなって何を考えてるのやら…だったけど、死ぬ前の行動の破天荒さが理解出来なくて読み返してしまった。仲間になったウルリヒやフェディコのダメっぷりイカレっぷりもぶっ飛んでてインパクトがあった。

国が変わる時の混乱はどこもこんな感じなのだろうか。
関心が薄かったロシアあたりの歴史も知りたくなった。
解説でタイトルの「ミノタウルス」の意味が分かって唸った。

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