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「二十八光年の希望」辻仁成

二十八光年の希望
辻 仁成
4087460886 普段、恋愛小説は読まないけれど、辻さんだけは特別。彼の描く恋愛小説は痛くて美しい。


「三つ星シェフ」を夢見てパリのレストランで働くハナ。そのレストランの総料理長のジェローム。恋に落ちた2人は幸せな日々を過ごし、三ツ星獲得を目指して共にレストランで頑張るが、ハナが突然、SEDS(感覚・感情不全症候群)と言う病気に侵される。
不幸とも思える出来事が続くが・・・。


何度も食べた事があるわけではないけれど、フランス料理って好き。料理の描写にヨダレが出そう(笑)。
ハナの、太陽のような明るさのあるとびきりの笑顔、挫けない前向きな姿勢、努力を惜しまない姿に、ハナのファンになってしまう。だからこそラストが気になったが、不幸な悲しい物語ではなく、キラキラと輝く光の渦のような温かさを感じた。

恋愛小説としてだけではなく、料理人の物語としても読む事が出来る。
元のタイトルは「いまこの瞬間 愛しているということ」で、これもピッタリだが、改題されたタイトルの方が私は好きかも。

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「超こち亀」 秋本治

超こち亀
秋本 治
4088740963「キン肉マンと両さんの漫画のコラボがある。」と、どこだかで耳にして手に入れたが、これはスゴイ!!

こち亀ファンでなくとも、漫画ファンなら楽しめる豪華なコラボ漫画
(さいとう・たかお、モンキー・パンチ、ゆでたまご、鳥山明先生)
や、総勢92名の有名作家陣からのメッセージ、秋本先生と各界著名人スペシャル対談など、見所満載!!

ジャンプを読まなくなってしまった私には、懐かしい先生達の絵柄を見る事が出来て、感涙ものでした!

それにしても、秋本治先生は、我々のイメージする漫画家とはかけ離れた規則正しい生活を送り、スランプもなく、常に楽しんで描いていると言うのが凄い。一体いつまで、連載は続くんでしょうね~。

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「虹の天象儀」 瀬名秀明

虹の天象儀 (祥伝社文庫)
瀬名 秀明
4396328842偶然だが、先日読んだいしいしんじさんの「プラネタリウムのふたご」に続いて、プラネタリウムの物語を手にした。

実在した東京・渋谷の五島プラネタリウムが閉館した後、1人の少年が現れ、主人公が過去へタイムスリップする・・・物語。

瀬名さんの描くSFは、温かくて、優しい。希望を感じ、未来を期待する気持ちになる。タイトルもイメージが増幅するような素敵なタイトル。

「思いが残る」
自分の存在が消えても、思いが残る。素敵な表現だ。
子供の頃、夜空の星を見上げた時に「あの星は何百年前に生きていた人も見た同じ星だろうか。」と思った事がある。目に見えない何かが訴えてくるように感じた。
私が消えても、私の思いを受け止めてくれる誰かがいるのだろうか。

読み終えた後、夜空を見上げ、静かに佇み、願い事をしたくなる。


プラネタリウムの投影機なんて、全く興味がなかったけれど、この小説に登場するカール・ツァイス製のプラネタリウム投影機は、繊細で精密で美しい。プラネタリウムへ行く機会があったら、是非投影機をチェックしてみたい。

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「燃えつきた地図」安部公房

燃えつきた地図
安部 公房
4101121141失踪した夫の調査を依頼された主人公の探偵が、調査を進めていくも手がかりも少なく、少ない手がかりも次々を消えてゆく。
一見、推理小説のようで、大きな謎でも隠れているのかと思いきや、そうでもなかったり、証人が死んでしまったり。次第に、自分自身が何者なのか、何をしているのか見失ってゆく・・・。


不条理で出口のない迷路をグルグルと廻っているかのような、そう、まさに地図が燃えつきて迷子になってしまったかのような世界。
外との繋がりが曖昧になって、”自分”の存在が溶けだす感覚。

何冊か安部公房の作品を読んできたが、寒さを感じる孤独感のあるこの作品、結構好き。
でも、スッキリと整理されたものを求める人にはお勧めできないかも。

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「V.」 トマス・ピンチョン

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V. 1 新装版 (1)
トマス・ピンチョン 三宅 卓雄
V. 2 新装版 (2)
トマス・ピンチョン 三宅 卓雄

トマス・ピンチョンの事を知ったのはかれこれ、10年以上も前の事。
当時好きだったバンドのアーティストが、「重力の虹」を読んだと雑誌のインタビューだったか・・・で話していたのを読んでから。

田舎の本屋にピンチョンが置いてあるわけもなく、あったとしても、高価な本を買う経済力もなく、数年後、大きな本屋さんで「ヴァインランド」を見つけて購入。
しかし、読みきったものの全く内容を理解する事が出来ず。「ピンチョンは私には読めないなぁ・・・。」と思いつつも「重力の虹」か「V.」はいつか読みたいと思っていた。

ネットの古本屋さんで、安値で「V.」を購入するも、文庫派の私にはハードカバーの本を読む機会がなかなか訪れず、仕事を辞めて時間が出来るようになり、ようやく読む事が出来た。

どんな物語か・・・と聞かれても、うまく説明する事が出来ないし、これから読む人もいるかもしれないので、簡単に言うと「V.」と言うキーワードがあり、それを追う物語・・・と言ったところかな。

最初は登場人物の多さと、断片的なストーリーの進み具合に戸惑った。
読み進めていくにつれ、読み方が少し分かるようになり、登場人物の関係図をメモして(こんな事するの小学生以来じゃないかな・・・)読む事で、V.を探すと言う謎解きと、主要な登場人物のストーリーを追う事が楽しくなった。

後半に入り、V.の事が少しづつ明らかになり、頭の中にある様々なピースがエピローグで繋ぎ合わさり、全体像が初めて見えた時、震える程感動した。
全てを理解できた訳ではないし、ちょっと解っただけだと思うけれど、それでも読み終えた時に放心状態になってしまった程だ。あとがきの「Vノート」でさらに理解を深めると、最初から読み返したくなったが、ちょっと時間をおいてからにしよう。

これがピンチョンが26歳の時のデビュー作と言うから驚きだ。「重力の虹」も絶対読みたい!!

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