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「ここにいないあなたへ」辻仁成

ここにいないあなたへ
辻 仁成
4087751864辻さんの綴る言葉と、安珠さんの写真からなる作品。

「あなた」に語りかける言葉は、独り言のようなのに淡々と優しく、そして写真は北海道かな?何でもないような風景や、生き物達などが撮られているんだけど、言葉と写真を交互に読み進めていくうちに、自分も旅しているような気分に。



”ぼく”の言葉の変化が、清々しく、読み終えた後は、パートナーが愛おしく、優しくしたくなるような気持ちになる。
プレゼントにもいいかも。

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「ミスター・ヴァーティゴ」ポール・オースター

ミスター・ヴァーティゴ
ポール オースター Paul Auster 柴田 元幸
4102451099ウォルト少年が、師匠になるイェフーディに出会い、空中浮揚を身に付け、アメリカ中を回り人気者になる。その後も、波乱万丈の人生を歩み、年老いた姿になるまでの物語と言ってしまうと簡単だけど、オースターの小説は、言葉にいい表わせない喪失感と、夢見心地な感覚と、ちょっと優しい気分になれるような満足感がある。

特にこの作品は、空を飛ぶと言うとんでもない事が、さりげなく書かれている事からも、ファンタジー、お伽話のようで、それまでのオースターの作品とは違った雰囲気があって、読みやすく温かみが増しているように感じた。

ウォルトが成長していく様子や、多くの人々との関わり合いと別れ。それだけなのに、なぜこんなにも惹きつけられてしまうのか。
初めてオースターの作品を読んだ時から、私が魅了されているオースター独自の文体のリズム。雰囲気が変わっても、らしさは変わらない。

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「戦争が終り、世界の終わりが始まった」フィリップ・K・ディック

戦争が終り、世界の終りが始まった
3年くらい前に読んでいたんだけど、あまり良く憶えていなかったので、再読した。
SFではない純文学と言っても、やはりディックらしさは存分に出ている。それぞれのキャラクターがイヤになるくらい生々しく、描かれている。

舞台は、1950年代。北米カリフォルニア。
チャーリー・ヒューム、フェイ・ヒューム夫妻に、フェイの兄のジャック・イシドール、近隣に引っ越してきた魅力的な夫婦のネーサン・アンティールとグエン。
彼らの何気ない日常が、淡々と静かに崩壊していく。

フェイは不愉快になるくらい言葉使いも悪いし、自己チューで、ワガママで、自分が一番でなければ気が済まなくて、コロコロと気分が入れ替わり、主婦業もろくに出来ず、本当に嫌な奴だ。そんな女に、最初は嫌気がさしていたネーサンが惹かれていくのも理解不能だったけれど、フェイに、他人とは違う魅力がある事も確かだ。可哀想なのは、ネーサンの妻グエンと、フェイの夫のチャーリーだ。巻き添えを食っているとしかいいようがないけれど、彼らもまた、自分の生き方をうまく変えようと思えば出来たのではないか、とも思える。
こんな人々の中にいると、ジャックもさほど狂っているとも思えないから不思議だ。

SFではない小説を読む事で、ディックの奥深さが一層理解出来るのではないかと思う。煌びやかなイメージのSFではなく、人間の本質を表現している作家だから。

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「PLUTO 4」浦沢直樹

PLUTO 4―鉄腕アトム「地上最大のロボット」より (4)
浦沢 直樹 手塚 治虫
4091810063短期間に何度も何度も読み返している漫画は、これが始めてかもしれない。新刊が出るまでの間隔が長いので、出ると一巻から読み返し、手塚治虫の原作「地上最大のロボット」も読み返す。

原作との繋がりを発見するのも楽しいし、複雑に絡み合った糸が少しづつほぐれて「なるほど!」と解った時の楽しさもあるし、噛めば噛むほど・・・ならぬ、読めば読むほど、深みが増してゆく。

どのキャラクターも(特にロボット)原作とは違った姿をしているのに、浦沢直樹が描くと、そのキャラーと違和感がなく、また、彼のキャラにもなっているから不思議だ。どのキャラもとても愛おしい。
3巻の感想でも書いているけれど(ここ)、ますます、私にとって大切な大好きな作品になりそうだ。

4巻にきて、少しづつ謎が明らかになり、新たな謎も増え、登場人物も揃って来た様に思うが、まだまだ複雑で難解。早く続きが読みたい!

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