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「いたずらの問題」フィリップ・K・ディック

いたずらの問題 (創元SF文庫)
Philip K. Dick 大森 望
4488696112先日、実家に帰省する時のお供にチョイス。前回読んだのは99年だから9年前。全然内容覚えてなくて、ストレイター大佐の銅像にいたずらを・・・くらいしか記憶になかったので、新鮮な気持ちで読めた。しかも面白くて手が止まらない。最近なかなかそこまでの気持ちにさせてくれる本ってないからね。わくわくしながら読んだ。

これは初期の作品で「ジョーンズの世界」と同じ年に描かれている。調べたら、ディック読むのは今年初で、前回読んだのは去年の12月「ジョーンズの世界」だった。同じ流れは感じる。プロットもしっかりしてるし、激しく脱線してしまうこともなくラストもハッピーエンド。それはそれで面白いけど、ハチャメチャなディックも読みたくなるな。

自分がいる世界とは別の世界があって、そこで暮らすことも可能だけど制約の中で生きるのか、自由だけど何もないような地で暮らすのがいいのか。自分が夢遊病者のように知らぬ間に何かしでかしたりしていても気づいてないんじゃないかとか、読後に空想して楽しむひと時が幸せ♪

苦悩し振り回され、でも自分で道を開いて解決しようとする主人公のアレンは、ディック作品の中ではまともな人間に見える。妻の方が臆病で薬なしじゃ精神を保てない弱さがあってディックワールドの住人っぽい。

なんにしてもディックはやっぱり最高だ!何度読んでも何を読んでも最高に面白い。

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「ジェイルバード」カート・ヴォネガット

ジェイルバード (ハヤカワ文庫 SF (630))
カート・ヴォネガット 浅倉 久志
4150106304ヴォネガット作品2冊目。たまたま古本市で見つけた。
前回読んだ「スローターハウス5」は、こういうスタイルの作品なんだと思って読んだんだけど、これがヴォネガットのスタイルなんだな。

ウォーターゲート事件の巻き添えをくって囚人(ジェイルバード)となったウォルター・F・スターバックの回想録。
歴史に詳しくないので、現在や過去を行ったり来たりする構成に、どこまでが史実でどこまでが創作なのか分からないけど、背景を知っているともっと理解できるんだろうなぁ。セーラと再会してからは、物語的な要素が強くなって読みやすくなって、グイグイ読み進んだ。

読み慣れるまでは取っつきにくかったけど、面白さが分かってヴォネガットにハマってきた。

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「スローターハウス5」カート・ヴォネガット・ジュニア

スローターハウス5 (ハヤカワ文庫 SF 302)
伊藤 典夫
415010302X海外SFに興味を持ち始めた10代の頃から気になりつつも、購入する機会がなく、たまたま本屋に並んでいるのを発見してやっと購入する事が出来た。

SFと思って読み始めたんだけど、これは・・・どう解釈したらいいんだろう。戸惑いながら読み進め、何度かページを遡り読み直したりした。今までに読んだことのない文体、展開の仕方で、頭に入っていかないのだ。

確かに宇宙人が出てきたり、時間を行ったり来たりするのはSF的だけれど、作者自身の自伝的小説ともとれるし、第二次世界大戦時のドレスデンの大虐殺の事が背景にあるので、重いテーマも含まれている。その重いテーマをユニークな表現で笑い飛ばしたり、ピリ辛な皮肉で語ったりするので、振り回されるというか、どう受け止めればいいのか消化しきれない。

偏った読書をしているので、たまに違った作家を読むと、新たな発見や衝撃があるのでいろいろ読むのは大事だなと痛感した。

他にもタイトルだけ知ってる有名な作品もあるので、読んでみたいとは思うけれど、「超面白い!」って内容の作品ではなかったので、重く引きずるような後味がいまだに残ってる。
第二次世界大戦の傷痕は日本だけでなく、多くの国で、多くの人の心に深く刺さっているのだなと改めて思わされた。

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「ぶらんこ乗り」いしい しんじ

ぶらんこ乗り (新潮文庫)
いしい しんじ
4101069212訳あって、声を失ってしまった弟。ぶらんこが上手で、お話しを作るのが巧く、頭もいい天才。姉である女の子が回想しながら物語が進んでゆく。

いしい しんじさんの作品を初めて読んだのは雑誌「ダヴィンチ」での連載。スゴクいい!って一目惚れしたわけではなく、柔らかい文体なのにブラックな部分もあって、何か心に引っかかるものがあった。

その後、本屋で見つけた「プラネタリウムのふたご」を読んで、いしいワールドに引き込まれてしまった。

ちょっぴり浮世離れした弟の存在さえ、みんなが自然と受け入れている楽しい世界がある一方、不幸な悲しい出来事から目を逸らせない現実を突きつけられたりもする。
優しくてふんわりとした雰囲気があるのに、実際書かれている事はそうじゃなかったりするし、淡々と書かれているようで、衝撃的な急展開を見せたり、ドキドキしっぱなし。

象徴的なことしか書けないけど、ネタバレしちゃうと面白みが半減してしまうので、書かない。是非手にとって読んでみて欲しい。

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「代筆屋」辻 仁成

代筆屋 (幻冬舎文庫 つ 1-7)
辻 仁成
4344411129小説家としてまだ一人前でない主人公が、「代筆屋」として手紙を書くことを依頼され、依頼主の想いを汲み取り、受け取る相手の事を想い、代筆するいくつかのエピソード、手紙が収められている。

人に代わって手紙を書くって、相手にバレないのかなぁ。分からないもんだろうか。
本来ならば自分で書いて当たり前と思うことだけれど、こういう事を必要としている人もいるんだろうな。
読み終わって温かい気持ちになった一方、こんなにうまくいく事ばかりじゃないだろう…と捻くれた考えも沸いてしまった。

メールが普及した今では、手紙を書く機会はめっきり減り、受け取る事も少なくなった。
中高生の頃、文通していた友達が何人かおり、手紙を書く楽しみ、ポストを覗き手紙を待つ楽しみがあったなぁ。
手紙って、声に出して伝える事がテレ恥ずかしい事や、うまく言葉に出来ない事などを相手に伝える事が出来るし。
そう分かっていても、忙しいの一言で不精になってしまうが、また手紙を書いてみようかな、と思った。

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