「中邑真輔の一見さんお断り」

中邑真輔の一見さんお断り (kamipro books)
4047264296普段語られないようなディープな話が聞けるかと思っていたので、やや残念。
中邑真輔入門編といったところか。

中邑選手のどこが好きなのか?と問われた時に「志の高さとそれを実現する力」と答えている。
夢やロマンを感じるんだよねぇ。特に対格闘技要員だった頃はドキドキさせられたもんな~。

プロレスに限らず格闘技や音楽、ドラマに映画など、分かりやすく単純なものが持てはやされウケている今の時代に、様々な「?(クエスチョン)」を投げかけている点にも引き寄せられる。
すぐに結果を求めるんじゃなくて、あーでもない、こーでもないって考えてる時間も楽しいじゃん。

本書にはそういったクエスチョンや、ドキドキさせられるロマンを感じられなかった。
無難にまとめた感じ。
収録されている変態座談会のような奔放さが欲しい。
あ、座談会は面白かった。

次回作に期待したい。

テーマ : 読んだ本。
ジャンル : 本・雑誌

「本邦東西朝縁起覚書」小松左京

本邦東西朝縁起覚書 (徳間文庫)


久しぶりの小松左京。やはり面白い。時を経ても色褪せない。7編収録。

「召集令状」「二〇一〇年八月一五日」の戦争モノは、戦争を体験したからこそ書けるであろう、ヒンヤリとした恐怖を感じる。

「新趣向」この手の話しはどこかで読んだことがあるようなモノが多い。自分達はドラマの登場人物であったり、作られて操られているだけの存在だったり。

「HE・BEA計画」「極冠作戦」この本は、1973年に早川書房から出版されてものを文庫化してるんだけど、私が生まれた年に出版された作品の内容が、環境汚染とか戦争についてで、今読んでも変わらない危機感を感じる。

「卑弥呼」「本邦東西朝縁起覚書」歴史が苦手なので史実との違いも良く分からないし、難しい部分もあるけれど、それでも面白く読めた。

テーマ : 読んだ本。
ジャンル : 本・雑誌

SFマガジン 2010年1月号

S-Fマガジン 2010年 01月号 [雑誌]
B002X8EIJ6やっと読み終わった。買う時は2500円って高いな~と思ったけど、好きな作家以外も面白くて値段以上の満足度。
いつも同じ作家ばかり読んでいるので、刺激にもなるし、興味も広がる。
巻末の執筆者紹介に浅倉さんが。病床でのコメントに涙…。

期待していたテッド・チャンは今ひとつ。でも期待度が高すぎたからかな。グレッグ・イーガンの短編は美しい。
久しぶりに読んだギブスンも良かったし、ディックとヴォネガットは初めて読んだので嬉しい。しかも浅倉さん訳!
他の作品も読んでみたいと思える作家もいっぱい。


・テッド・チャン「息吹」
期待していたけれど、ちょっと物足りない感じ。ディックらのエントロピーを意識したとか。ロボット達の世界で気圧が上昇し続け生きる事が出来なくなるっていう話し。
どこかで読んだような読んでないようなテーマというか、目新しさは感じられないけど、柔らかな雰囲気が全体を覆っていて悲壮感のあるべき物語なのに安らいでしまう。中編を執筆中で完成間近とのこと。早く読みたい!

・グレッグ・イーガン「クリスタルの夜」
イーガンの短編は本当に素晴らしい。テッド・チャンかイーガンかってくらい2人の短編が自分にとっての宝物。
意識を持つAIを生み出す研究をしている話しなんだけど、確か瀬名さんだっけ?も似たような話し描いてたが、AIが成長していく過程やダニエルが傲慢になっていく様子にワクワクさせられた。専門的な難しい事は分からないけど、面白く読めてしまうから不思議。特に短編はホントに素晴らしい。ここまで読んで興奮。お値段高い(2500円)けれど、もう元を取った感じ。

・テリー・ビッスン「スカウトの名誉」
初めて読んだ作家。ネアンタール人の起源?を探るような話しなんだけど、最後のオチが途中で分かってしまったが読みやすく面白かった。他の作品も読んでみたい。

・ジーン・ウルフ「風来」
ジーン・ウルフって大昔に天野さんの表紙の「太陽の書」を買ったんだけどたぶん読まずに弟にあげて、実家にもあるはず。ファンタジーっぽくてイメージとちょっと違ったけど、読みやすかった。「新しい太陽の書」の広告が入っていて、小畑健が表紙描いてる!読んでみようかな~。

・シオドア・スタージョン「カクタス・ダンス」
こういう作品を読むと、どこまでSFとして定義されるんだろうかと考えてしまう。SFというよりはファンタジーや幻想小説って感じがする。ラストは美しい。

・ブルース・スターリング「秘教の都」
ブルース・スターリングといえば、ギブスンとの共著である「ディファレンスエンジン」を思い浮かべる。ダンテの神曲の現代バージョンのようであり、オカルトの要素もあるので不気味さもあるが、目の前の景色が次々と変わり、あちらこちらに風のように移動していくのは、まるで夢を見ているかのようだ。

・コニー・ウィルス「ポータルズ・ノンストップ」
「犬は勘定に入れません」というタイトルが気になってた作家なんだけど、暖かみのある話しで大森さんの訳も素晴らしいと思う。是非、他の作品も読んでみたい。

・ラリイ・ニーヴン「≪ドラコ亭夜話≫」
多種多様の異星人が集まる酒場「ドラコ亭」の連作。70年代のモノが多いんだけど、古臭さは感じず、ほのぼのしていて面白い。もっとこのシリーズを読んでみたいと思わされた。

・フィリップ・K・ディック「凍った旅」
偶然にも先日亡くなった浅倉さんの訳。冷凍睡眠での旅の途中、覚醒してしまった1人と宇宙船とのやりとり。やっぱりディックはいい。浅倉さんの訳も安心して読める。

・カート・ヴォネガット「明日も明日もその明日も」
こちらも浅倉さん訳。ほのぼのの中にスパイスが効いていて、心地よい。

・R・A・ラファティ「昔には帰れない」
おとぎ話のような柔らかい色合い。タイトルの通りなんだけど、子供の頃に素晴らしかったものが実はたいしたものではなかった…って良くあること。大人になって真実を知らなかったほうが良かったこともあるだろうし、本当にスゴイ体験だったこともあるだろう。幼いころの記憶を揺すぶられた。

・ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア「いっしょに生きよう」
これもステキ。タイトルもステキ。異星人?に乗っ取られてしまう恐ろしい結末になるかと思いきやハッピーな感じで。途中まで話しの展開が読めず戸惑ったけれど、面白かった。

・ウィリアム・ギブスン「記憶屋ジョニイ」
初めて文庫で読んだ時は全く情景がイメージできず、雰囲気だけで読み切った。そのあと、ひろき真冬さんが漫画化したものを読んでようやく理解出来た…って思い出のある作品。
今読み返すとどうしても時代を感じてしまう部分はあるけれど、当時は刺激的だった。時代が彼を追い越してしまった。それでもやっぱり名作。映画はガッカリするから見てない。

・アレステア・レナルズ「フューリー」
メチャメチャ面白かった!キャラが魅力的で“絵”がハッキリ目に浮かぶので読みやすかった。漫画化したらよさそうな感じ。他の作品も読んでみたい。こういう発見があるともっと幅広く色々な作品を読まないといけないなぁ~と感じる。

・ジョン・スコルジー「ウィケッドの物語」
宇宙船が人工知能で自意識を持って行動する…ってありがちな設定のように思えるけど、グイグイ読めて面白かった。

・パオロ・バチガルピ「第六ポンプ」
読みやすかったし、明るい未来だけじゃなく、こういう腐敗していく未来も可能性としてはあるな…と思った。この作家も他の作品を読んでみたい。キャラもいい。

・ダン・シモンズ「炎のミューズ」
スペースオペラって特に好きな訳じゃないし、劇団の巡業の話しでシェイクスピアも分からないしなぁ…と読み始めたのに、いつの間にか夢中になって読んでいた。壮大なスケールに圧倒される。ラストに相応しい読感。

新潮のトマス・ピンチョン

待ちに待ったトマス・ピンチョンの全小説の刊行のメドがついたようだ。
http://www.shinchosha.co.jp/shincho/editor/20100407/

だって、「新潮社が来春から、トマス・ピンチョンの全小説の刊行も始めると!!」って日記書いたの2008年だもん。
http://bookbookman.blog20.fc2.com/blog-entry-106.html

「カフカ・セレクション 3」フランツ・カフカ

カフカ・セレクション〈3〉異形/寓意 (ちくま文庫)
平野 嘉彦
4480424539「カフカ・セレクション」最後の「異形・寓意」編。

前半の短編がどれもこれも面白い。
「それはハゲタカで」「雑種」「夕方帰宅してみると」「ジャッカルとアラビア人」「その村はターミュルといった」がお気に入り。明らかに普通の状態じゃないんだけど、それを受け入れて不便を感じながらも生活している様子が滑稽でいじらしい。

「歌姫ヨゼフィーヌ、あるいは鼠の族」「いかに私の生活は変化したことか」淡々と淡々と語られるので、一瞬、退屈で読み飛ばしたくなる。が、2で読んだ「巣造り」のように読み進めているうちに虜になってしまう。


最後に収録されている「変身」。おそらく初めて読んだカフカはこれだと思うし、何度も読んでいるはずだけれど、新鮮な気持ちで読むことが出来た。前はザムザが巨大な虫になってしまった事ばかりに興味がいっていたと思うが、家族の優しさやザムザの家族に対する愛情が切なく美しい。


3巻読み終えたが、断片ですらカフカの紡ぎ出す言葉は美しく引き込まれてしまう。ということを再認識した。
短編には短編の、長編には長編の魅力がそれぞれあるが、走り書きのような言葉でも私にとっては宝物のような言葉。
ちくまには感謝、感謝。

テーマ : 読んだ本。
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    P・K・ディック、J・G・バラード、ウィリアム・ギブソン、小松左京、ポール・オースター、F・カフカ、安部公房 etc…
    【好きな漫画家】
    ひろき真冬、小畑健、ゆでたまご、浦沢直樹、松本零士、手塚治虫、山根和俊、etc…

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