「ぼくがカンガルーに出会ったころ」浅倉 久志

ぼくがカンガルーに出会ったころ
浅倉 久志
4336047766ハードカバーは重たいので通勤中には読まないんだけど、以前から買ってあったこれが急に読みたくなって、頑張ってカバンに入れて通勤中に読んだ。テンポ良く、スラスラと読めてしまった。

SFを読み始めた20代の頃は、誰の翻訳だから読みやすくていいとかなんて、考えた事はなかった。
いつしか、この人の名前を良く見るな~、と気付いたくらいで。

浅倉さんの翻訳した作品で一番多く読んだのは、ディックが断トツ。そしてカート・ヴォネガット。読みやすいし、温かみやユーモアを感じる。あとがきを読むのも楽しみだった。

本著は、浅倉さんが手がけた翻訳のあとがき、エッセイなどか収められている。読んだ作品については懐かしく感じるし、作品名や著書名は良く知っているけど読んだ事のない作品は、あらすじやネタばれがあるにもかかわらず、読んでみたくなった。

特にR.A. ラファティの「九百人のお祖母さん」、ポール アンダースン「タウ・ゼロ」は昔から良く目にしていたけれど、読む機会がなかったので、是非読みたい。王道というか、古典SFやオールタイムベストも読みたい。新装版じゃなくて昔の表紙、サイズのがいいな。

浅倉さんが引用について恐縮しているが、「引用」って私は結構好き。自分で知り得ない情報を与えてくれるのはありがたい。海外での評価とか面白いし。しかし、海外に行った事がなかったなんて!びっくり。

お顔も知らない浅倉さんだけど、本を読むたびにこれからも名前は目にするだろう。

テーマ : 最近読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

「人間以前 (ディック短篇傑作選)」フィリップ・K・ディック

人間以前 (ディック短篇傑作選)
フィリップ・K・ディック 大森望
4150119813ディックの短編を続けて読んでいると、長編もいいけれど、短編は傑作揃い!と唸らされる。
短い文、濃縮されていて筋道も通っているし(笑) 特にこの短編集は素晴らしい。何度も読んでいる作品もあるが、何度読んでも面白い。

「地図にない街」
路線にない駅までの定期券を買おうとする男。不審に思った駅員がその街を調べに行ったら…小松左京の短編にもありそうな感じ。

「妖精の王」
妖精の王様にされてしまったガソリンスタンドを経営する男。妖精と敵対するトロールのボスが親友で殺してしまい…
ファンタジーなのかな。でもドロリとしている。

「この卑しい地上に」
何度読んでも天使たちの現れるシーンが素敵。前半と後半の雰囲気がガラリと変わってしまうが、天使が血を求めていたり、万能でなかったり完全じゃないのがいい。

「欠陥ビーバー」
最近読んで、何だか良く分からなかったのでパス。

「不法侵入者」
短編集初収録。SFマガジンに掲載されたそうだが読んでないので、完全に初めて。途中でオチが分かってしまうが、思わず「なるほど!」と感心してしまった。古き良きSFって感じ。

「宇宙の死者」
読んでるはずなんだけど、全然覚えてなくてワクワクしながら読んだ。冷凍保存されて半生状態の死者のくだりは「ユービック」。久しぶりに「ユービック」読みたくなった。途中からハチャメチャになって広がり過ぎてしまうが、これもまたディックらしい。

「父さんもどき」
父親が何者かに食べられてしまい、入れ替わってしまう。これも何度も読んでいるが、怖い。テンポも良く昔のアメリカのSFっぽさもあるけど、傑作だと思う。

「新世代」
これも最近読んだが、生まれてきた子供に触れさせてもらえず、ロボットに完璧な人間として育てられる。ラストの子供とロボットとのやりとりが切ないというか、お父さん(涙)可哀そう。

「ナニー」
これも何度か読んでる。新しいものを買わせる為に、既存の物を破壊する。今の世の中も近いようなとろこも少しあるよね。新製品、新機能…すぐに買ったものが古くなってしまう。

「フォスター、お前はもう死んでるぞ」
核戦争に対する備えが過剰。家庭には核シェルターが必ずあり、学校でも訓練をする。家にシェルターがない男の子の悲哀ったら!やっと買ってもらえたシェルターに入り浸れると思ったら、資金不足で取り上げられてしまい、その落ち込みようったら…。薄暗い雰囲気だが結構好き。

「人間以前」
「まだ人間じゃない」の新訳。当時はタイトルにインパクトがあった。訳の違いは読み比べないと分からないけど、読みやすかったし、これを元に長編とか書けそう。12歳未満の子供は人間として認められない、魂がないなんて、そんな世界になったら恐ろしい。

「シビュラの目」
ローマ時代と現在とか繋がってるよな幻想的な感じの話なんだけど、どこに焦点があるのか分からない。小説というか覚書と思えば悪くないかな。


あとがきに、ディックの作品の中でもっとも短い短編が載せられている。

浅倉さんの訳した作品を多く載せたとの事。嬉しい。
読みやすさと安定感と独特のリズムや言い回しは、読めば浅倉さんって分かる。
浅倉さんの訳した作品で育ったと言っても過言でないくらい、彼の翻訳した作品を多く読んでいる。

「小さな黒い箱 (ディック短篇傑作選)」フィリップ・K・ディック

小さな黒い箱 (ディック短篇傑作選)
フィリップ・K・ディック 大森望
4150119678この短編のシリーズが出始めた頃は、読んだ作品が多いし、別に買わなくても…でも書籍初収録とかもあるしなぁ~と思いながら買ったら、やっぱりディックは面白い!

再読が久しぶりの作品も、何度も読んでいる作品も味わい深く、長編とはまた違った濃さがある。今回もタイトルを見ただけで読んだ作品が多いが購入。いい。


「小さな黒い箱」
「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」の元になった作品。この短編凄く好き。「アンドロイド~」も大好きだけど、短編ならではの凝縮された完成度がいい。マーサー教の痛みを分かち合うって考えは好き。

「輪廻の車」
前に読んで覚えているのでパス。

「ラウタヴァーラ事件」
異星人とはきっと何も分かりあえないのだろうと思った。「神」に対するとらえ方って少なくとも地球上では色々な宗教があって理解しがたいものもあるだろうけれど、根本的な部分んは信じる信じないでなく分かる。そう考えると宇宙人って憧れというかいたらいいな~とは思うけれど、実際はとても恐ろしいのかもしれない。

「待機員」
電子頭脳が世界を支配したり守るって設定は良くあるけど、壊れた時にどうするか?って言う話しは興味深い。しかし火星人が来てるのに切迫感がない(笑)

「ラグランド・パークをどうする?」
「待機員」の続編。まさか続編があるとは。違った視点で描かれているけれど、なんだか緩い。

「聖なる争い」
ガムのおもちゃがまさかの。途中まで全然和分からなくてドキドキしながら読んでしまった。真剣に書かれてるんだもの。

「運のないゲーム」
サーカスって言うとブラッドベリを思い出す。サーカスの景品を使って侵略してくるなんて酷い。ディックの描く火星での生活は暗くて寂しくて灰色。

「傍観者」
清潔党と自然党の対立。読んで間もないのでパス。

「ジェイムズ・P・クロウ」
機会に支配された世界で人間がトップにのし上がって、彼らを追い出してしまう。カッコいい感じもするけれど、このクロウが曲者っぽい感じがして、その後が怖い。

「水蜘蛛計画」
実在の人物が出てくるのが、良く知っている人物だったらもっと面白いんだろうな。未来ではSF作家が予知能力者と思われているのが面白い。

「時間飛行士へのささやかな贈物」
これはとても切なくて暗い。表題作になった短編集を前に読んだ時とは違った印象。時間旅行が可能になったら色々な事故がありそう。
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