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「第三次世界大戦秘史」J・G バラード

第三次世界大戦秘史 (福武文庫)
J・G バラード J.G. Ballard

ネットで購入。バラードの短編集。
実験的な形式だったり、その後につながるモチーフなどファンならニヤリとしてしまう作品が集められている。


・ウォー・フィーバー
内戦中の兵士。なぜ戦争がなくならないのか。
戦争が存続する事で自分も生かされているという皮肉な現実。

・第三次世界大戦秘史
大人気の大統領ロナルド・レーガン。病気でも国民の関心が高い(高過ぎる)。みんながレーガンに夢中の間に第三次世界大戦が開戦され終結。たった数分の戦争は、ほとんど誰にも知られていない。こういう事ってありそうでうすら寒い。

・夢の船荷
化学廃棄物を積んだまま1人残った乗務員とともに無人島にたどり着いた船。化学廃棄物が船から漏れて島の動植物に影響を与える。こんもりと茂った草花の色鮮やかなパラダイス。「夢幻会社」を思い出した。美しい。

・攻撃目標
精神病者の戯言みたいで分かりにくかった。

・エイズ時代の愛
出生率が低下した為に、男女のカップリングを強制的に行っている世界。普通の恋愛は禁止。現代の日本も出生率が低下し離婚率が高まっている。笑えない。

・世界最大のテーマ・パーク
海沿岸のリゾート地が変容する様は、「コカイン・ナイト」を彷彿させる。この短編集はその後につながるモチーフが散りばめられているのにニヤニヤさせられる。

・尋問事項に答える
尋問の回答らしきものだけがつづられている。分かりそうで分からない。試みとしては面白いと思う。

・航空機事故
航空機が墜落したらしいというニュースを聞いて、他の取材をほっぽり出して現場に向かおうとする主人公。奥深く山へ向かって行くにつれて言葉が通じない原住民たちに導かれるまま更に進んでいく。どこか別の空間に迷い込んでしまったような感じは小松左京の作品で何かあったね。

・未確認宇宙ステーションに関する報告
宇宙ステーションに着陸するも無人の様子。調べ回るにつれてどこまでも拡大していく宇宙ステーション。永遠の迷路。

・月の上を歩いた男
元宇宙飛行士を名乗って観光客を相手に商売をしている男。インチキ臭くても偽物でも観光客にはどうでもいいものなんだ。ちょっと記念に的な。その男に魅了された男が身を落とし後を引き継ぐ。映画のワンシーンみたいだった。

・巨大な空間
妻に家を出て行かれてしまい、会社に行くことも辞めて家に閉じこもってしまう男。
食糧も尽き、狂気に走り堕ちてゆく姿が怖い。

・宇宙時代の記憶
見捨てられた宇宙センターや飛行機、砂っぽい空気、この世界観がまさにバラード。心地よい。

・精神錯乱にいたるまでのノート
断片的過ぎて表面しか拾えない。

・索引
索引から人物を探る作りになってるんだけど、これもまた読み解くのが難しい。
ライトに楽しめばいいのかな。

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