「ハル」瀬名秀明

ハル
瀬名 秀明
4167679582短編集かと思ったら、連作中編5つの物語がリンクしているロボットと人間との関わりを書いた物語。
漫画や小説で悲しくて泣いた事はあるけれど、心が温かくなり、気持ちが溢れて涙になるのは初めての事だ。

作者の瀬名さんが「パラサイト・イヴ」でデビューし、ベストセラーになった時は、興味はあったけれど、敬遠してしまい、随分経ってから「八月の博物館」「Brain valley」、そして先日「パラサイト・イヴ」を読んだ。
どの作品にも衝撃を受け、楽しませてもらったが、今回読んだ「ハル」は今まで私が読んだ数多くの本の中でも、好きな一冊になるであろうと思う程、心に残った。

私は手塚治虫の描く未来の情景が大好き。温もりを感じるのだ。丸みのある建物や優しい顔のロボット達。
私はSFが大好きで、主に海外SFを好んで読む事が多いが、映画化されるSFの情景はなんともガッカリするものばかりだ。建物にも、人間にもロボット(アンドロイド)にも体温を感じない。

そんな事と比較してみても、この作品はSFや手塚治虫への愛情溢れるオマージュも伝わってきて、SFファンとしても嬉しい限りだ。ロボットと人間の関わりって、現実問題になるとこういう感じかな?と言うのがリアルだし、温かさを感じた。

うまく言葉に出来ないんだけど、普段読む事が多い海外SFは、古い物が多いし、日本人が主人公でもないから、非日常感がたっぷりで、非現実的なトリップ感が好きなんだけど、この作品は身近に感じるような事も多く、迫ってくる人々の感情も熱く、手塚治虫、アトムと言うキーワードが実体験と混ざり合って、様々な想いが駆巡った。

実際ロボットが生活に関わって、書かれているような世界になるのはあり得るだろうし、そうなって欲しいと願う。特に介護や危険地帯での作業をするようなロボットは、早く普及して欲しいと思う。

「八月の博物館」を読んだ時もそうだったけど、何処か懐かしく、見覚えのある風景のようで、でも、書かれている事は未来の事であったり、ファンタジーっぽいところもあったりする。
この感情はなんだろう。未来を見ているはずなのに哀愁を感じ、異常に共感してしまい、いろんな感情が溢れて止まらず、胸がいっぱいになるのだ。こんな作品を求めていた、待っていた!と言う気分なのだ。

これからの瀬名さんの作家活動に大いに期待したいし、このジャンルの作品をもっと読んでみたいと思う。              

テーマ : オススメの本の紹介
ジャンル : 本・雑誌

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モロゾフスキーさん
足跡ありがとうございます。また遊びに来てくださいね!

紛らわしいハンドルでごめんなさい。日本人です。http://jump.sagasu.in/goto/blog-ranking/で見つけてきました。また見にきまーす!
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