「人間以前 (ディック短篇傑作選)」フィリップ・K・ディック

人間以前 (ディック短篇傑作選)
フィリップ・K・ディック 大森望
4150119813ディックの短編を続けて読んでいると、長編もいいけれど、短編は傑作揃い!と唸らされる。
短い文、濃縮されていて筋道も通っているし(笑) 特にこの短編集は素晴らしい。何度も読んでいる作品もあるが、何度読んでも面白い。

「地図にない街」
路線にない駅までの定期券を買おうとする男。不審に思った駅員がその街を調べに行ったら…小松左京の短編にもありそうな感じ。

「妖精の王」
妖精の王様にされてしまったガソリンスタンドを経営する男。妖精と敵対するトロールのボスが親友で殺してしまい…
ファンタジーなのかな。でもドロリとしている。

「この卑しい地上に」
何度読んでも天使たちの現れるシーンが素敵。前半と後半の雰囲気がガラリと変わってしまうが、天使が血を求めていたり、万能でなかったり完全じゃないのがいい。

「欠陥ビーバー」
最近読んで、何だか良く分からなかったのでパス。

「不法侵入者」
短編集初収録。SFマガジンに掲載されたそうだが読んでないので、完全に初めて。途中でオチが分かってしまうが、思わず「なるほど!」と感心してしまった。古き良きSFって感じ。

「宇宙の死者」
読んでるはずなんだけど、全然覚えてなくてワクワクしながら読んだ。冷凍保存されて半生状態の死者のくだりは「ユービック」。久しぶりに「ユービック」読みたくなった。途中からハチャメチャになって広がり過ぎてしまうが、これもまたディックらしい。

「父さんもどき」
父親が何者かに食べられてしまい、入れ替わってしまう。これも何度も読んでいるが、怖い。テンポも良く昔のアメリカのSFっぽさもあるけど、傑作だと思う。

「新世代」
これも最近読んだが、生まれてきた子供に触れさせてもらえず、ロボットに完璧な人間として育てられる。ラストの子供とロボットとのやりとりが切ないというか、お父さん(涙)可哀そう。

「ナニー」
これも何度か読んでる。新しいものを買わせる為に、既存の物を破壊する。今の世の中も近いようなとろこも少しあるよね。新製品、新機能…すぐに買ったものが古くなってしまう。

「フォスター、お前はもう死んでるぞ」
核戦争に対する備えが過剰。家庭には核シェルターが必ずあり、学校でも訓練をする。家にシェルターがない男の子の悲哀ったら!やっと買ってもらえたシェルターに入り浸れると思ったら、資金不足で取り上げられてしまい、その落ち込みようったら…。薄暗い雰囲気だが結構好き。

「人間以前」
「まだ人間じゃない」の新訳。当時はタイトルにインパクトがあった。訳の違いは読み比べないと分からないけど、読みやすかったし、これを元に長編とか書けそう。12歳未満の子供は人間として認められない、魂がないなんて、そんな世界になったら恐ろしい。

「シビュラの目」
ローマ時代と現在とか繋がってるよな幻想的な感じの話なんだけど、どこに焦点があるのか分からない。小説というか覚書と思えば悪くないかな。


あとがきに、ディックの作品の中でもっとも短い短編が載せられている。

浅倉さんの訳した作品を多く載せたとの事。嬉しい。
読みやすさと安定感と独特のリズムや言い回しは、読めば浅倉さんって分かる。
浅倉さんの訳した作品で育ったと言っても過言でないくらい、彼の翻訳した作品を多く読んでいる。

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