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「戦争が終り、世界の終わりが始まった」フィリップ・K・ディック

戦争が終り、世界の終りが始まった
3年くらい前に読んでいたんだけど、あまり良く憶えていなかったので、再読した。
SFではない純文学と言っても、やはりディックらしさは存分に出ている。それぞれのキャラクターがイヤになるくらい生々しく、描かれている。

舞台は、1950年代。北米カリフォルニア。
チャーリー・ヒューム、フェイ・ヒューム夫妻に、フェイの兄のジャック・イシドール、近隣に引っ越してきた魅力的な夫婦のネーサン・アンティールとグエン。
彼らの何気ない日常が、淡々と静かに崩壊していく。

フェイは不愉快になるくらい言葉使いも悪いし、自己チューで、ワガママで、自分が一番でなければ気が済まなくて、コロコロと気分が入れ替わり、主婦業もろくに出来ず、本当に嫌な奴だ。そんな女に、最初は嫌気がさしていたネーサンが惹かれていくのも理解不能だったけれど、フェイに、他人とは違う魅力がある事も確かだ。可哀想なのは、ネーサンの妻グエンと、フェイの夫のチャーリーだ。巻き添えを食っているとしかいいようがないけれど、彼らもまた、自分の生き方をうまく変えようと思えば出来たのではないか、とも思える。
こんな人々の中にいると、ジャックもさほど狂っているとも思えないから不思議だ。

SFではない小説を読む事で、ディックの奥深さが一層理解出来るのではないかと思う。煌びやかなイメージのSFではなく、人間の本質を表現している作家だから。

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